いつか孵る場所
それは高校3年の新学期が始まってすぐの事。
「拓海くん!」
学校の屋上。
いつも彼はここでボーッと過ごしていた。
そこに賑やかな声の主がやって来る。
「やあ、真由ちゃん」
人懐っこい笑みを浮かべた拓海は軽く手を振る。
「座っていい?」
「どうぞ」
拓海は自分が座っている横のスペースを少し空けた。
少しだけ、腕と腕が触れ合う。
何とも言えない心地よい風が二人の間を駆けていく。
真由はこの時間が一番好きだった。
「そういえばさあ」
拓海が話を切り出した。
「僕の友達に高石 透っていう奴がいるんだけど」
拓海には高校に沢山の友達はいるがほとんどが上辺だけの付き合いだか、信頼出来る人間も数人いた。
その中の一人が透だった。
「透に彼女が出来たらしい」
嬉しいようで、半分茶化している拓海。
「透にもそういう人間的なところがあったんだなあって思うと少し嬉しい…けどね」
拓海は頭を左右に振った。
「親が五月蝿いからね。別れさせられそう」
拓海は空を見上げ、切ない表情を見せて目を閉じた。
「拓海くん!」
学校の屋上。
いつも彼はここでボーッと過ごしていた。
そこに賑やかな声の主がやって来る。
「やあ、真由ちゃん」
人懐っこい笑みを浮かべた拓海は軽く手を振る。
「座っていい?」
「どうぞ」
拓海は自分が座っている横のスペースを少し空けた。
少しだけ、腕と腕が触れ合う。
何とも言えない心地よい風が二人の間を駆けていく。
真由はこの時間が一番好きだった。
「そういえばさあ」
拓海が話を切り出した。
「僕の友達に高石 透っていう奴がいるんだけど」
拓海には高校に沢山の友達はいるがほとんどが上辺だけの付き合いだか、信頼出来る人間も数人いた。
その中の一人が透だった。
「透に彼女が出来たらしい」
嬉しいようで、半分茶化している拓海。
「透にもそういう人間的なところがあったんだなあって思うと少し嬉しい…けどね」
拓海は頭を左右に振った。
「親が五月蝿いからね。別れさせられそう」
拓海は空を見上げ、切ない表情を見せて目を閉じた。