いつか孵る場所
「ええっ、二次会?」

お開きの時間になり、真由は帰ろうとするとまたかれんに引き止められた。

「いや、もう帰ろうかなあ、って」

ハルを逃がしてしまった、というショックで早く家に帰りたかった。

あと一歩…踏み込めなかった自分が悔しすぎる。

「何、ひょっとして高石の所にでも行くの?」

かれんの夫、大輝が言う。

「…馬鹿らしい」

思わず言ってしまった。

ちょっとハイテンションな夫婦は驚いた目で真由を見る。

「そんなに冷やかして楽しい?違うって言ってるのにまだわかんない?二人とも、あまりにも変わってしまってガッカリだわ」

真由の目に少しだけ涙が浮かんだ。

「…もう、帰るね」

自分の荷物をさっと手に取り、会場を後にした。



胸が痛い。

− やっぱり来るんじゃなかった… −
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