いつか孵る場所
「…はあ?」

病室を出るとまたもや数人のナースが散らばった。

透は声を上げはしたが、顔色1つ変えず歩き始める。

多分、ハルが入院している間は常に監視されているだろう。

さっきの男性については。

− まあ、彼氏でもなさそうだったからいいか… −
一応、反応を試してみた。
あの男性の一方的な片思いと思われる。

…自分も一方的な片思いである可能性大だが。



− さて、学会の資料でも作ろうかなあ −

今日の仕事、診察等は一応終わりだが、週末の学会での発表に向けて前々から準備しているのでそれを少しでも早く完成させたい。

とはいえ、論文を書いたりするのは得意中の得意なのであまり苦ではない。

それよりも学会があると遠い所に出掛けられるしオンコールも基本的にはないし、少し羽を伸ばせるのでそれが楽しみだ。

透は歩きながら大きく伸びをして背筋を伸ばした。
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