いつか孵る場所
「はい、出来た」

5分程度で描き上げると、それをナツに渡した。

ナツは手に取り、顔がパッと明るくなる。

「なっちゃんだ!」

そう叫んで絵をハルに見せてとびきりの笑顔を見せた。

「良かったねえ」

ハルはそう言うと透を見つめた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

ハルは缶にお金を入れようとしたけど

「今は誰もいないから、いいよ」

透はそう言って鉛筆を置いた。

「でも…」

少し困ったような顔をするハル。

透は首を横に振った。

「僕から’なっちゃん’へのプレゼント」

そう言う透はナツの頭を撫でた。



まだこの時は、お互いを意識する事はなかった。
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