いつか孵る場所
5.難問てんこもり
ハルは家に来るな、そう言ったけれど。
結局、迎えに行くというのは家に行く、という事なので…。
透は車を近くのコインパーキングに停めて少し歩いた。
季節は春。
けれど日が暮れると少し寒い。
薄手のコートを着ているが少し首を竦める。
教えてもらった住所通りに訪ねるとハルの家は路地裏の小さなアパートの一角だった。
聞いていた部屋番号の前に立ち、一呼吸置いてチャイムを鳴らす。
はい、と返事が聞こえ、ドアが開く。
「わざわざ、ごめんね」
「こちらこそ、急にごめん」
透が微笑むとハルも笑顔を返した。
「本当に狭いけど…入る?」
「いいの?」
ハルは頷いて中に入るように手招きをした。
「本当に何もないし狭いし」
ハルの自虐的な言い方に思わず苦笑いをする。
「僕の所も狭いよ。ワンルームだし」
「え、そうなの?」
「うん、寝るだけの部屋だから」
透はふと、本棚に目をやった。
- あ… -
自分の出身大学の赤本があった。
結局、迎えに行くというのは家に行く、という事なので…。
透は車を近くのコインパーキングに停めて少し歩いた。
季節は春。
けれど日が暮れると少し寒い。
薄手のコートを着ているが少し首を竦める。
教えてもらった住所通りに訪ねるとハルの家は路地裏の小さなアパートの一角だった。
聞いていた部屋番号の前に立ち、一呼吸置いてチャイムを鳴らす。
はい、と返事が聞こえ、ドアが開く。
「わざわざ、ごめんね」
「こちらこそ、急にごめん」
透が微笑むとハルも笑顔を返した。
「本当に狭いけど…入る?」
「いいの?」
ハルは頷いて中に入るように手招きをした。
「本当に何もないし狭いし」
ハルの自虐的な言い方に思わず苦笑いをする。
「僕の所も狭いよ。ワンルームだし」
「え、そうなの?」
「うん、寝るだけの部屋だから」
透はふと、本棚に目をやった。
- あ… -
自分の出身大学の赤本があった。