いつか孵る場所
火曜日。
ハルは経過観察で病院を訪れた。

「うん、だいぶ良くなってきていますよ」

至はレントゲン画像を見て、にこやかに言う。
ハルもありがとうございます、と返した。

「では次回、4週間後に来てください」

至は電子カルテに次回予約を入力していると

「あの…」

ハルが口を開いたので手を止める。

「透さんと結婚前提でお付き合いをすることになりました」

「…」

至の目が一点を見つめたかと思うと

「え~!!」

至の声は一般内科5診全てに聞こえ、向かいの循環器科まで聞こえそうだった。

「先生?」

慌てて看護師がやってくると

「ご、ごめん、なんでもない」

看護師に謝ると至はハルを見つめて

「良かったねえ、ホッとしたよ」

と嬉しそうに再び入力を始めた。

「僕の妻は透やハルちゃんと同い年だからまた食事にでも行こう。きっと良い話し相手になると思うよ」

至は本当に嬉しそうに笑った。



ハルが診察室を出てから、思わず至はニヤニヤしてしまう。

- 透も案外、素早い行動をしているな -

後でちょっと透に声を掛けてみよう。
それと…。
至は真剣な目をしてモニターを見る。

- 色々、根回ししておこう -
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