いつか孵る場所
「あれ?」

もうすぐ駅、という所で見覚えのある顔を見つけた。

「どうしたの?」

透が声を掛けるとハルは慌てて振り返った。

腕にはナツを抱いていた。

「保育園に迎えに行ったら熱があって…」

ナツの意識は朦朧としているのか、目を閉じている。

透はナツの額、頬、首もとを触った。

パッと触った感じでは40度。

唇もカサカサ。

脱水かな。

透は目の前の病院の案内を見る。

今日は休診日。

…あまり頼りたくないけど、頼るしかないか。

「少し遠いけど、病院を知っている。
僕がなっちゃんを抱っこするから一緒に行こう」

ハルの腕からナツを取り上げると透はナツを抱っこした。

ハルは目をパチパチさせていたが、慣れた手つきの透を見て、少し安心して任せる事にした。
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