いつか孵る場所
「まさか来るとは思わなかった」

透は更にハルを抱き締める。
そのまま玄関の中に引き入れ、ドアを閉めた。

「だって…透の様子がおかしかったから」

「ありがとう」

透はハルのマスクを外すと唇にキスをした。

「ハルが来てくれたから、疲れもぶっ飛んだ」

透が微笑むとハルも微笑み返す。

「ハル、いい香りがする」

また透が抱き締める。

「お風呂に入ってきたので…スッピンです…」

ハルは透の腕の中で恥ずかしそうに言って、透を見上げた。

「…全然問題ない。だってそのうち一緒に暮らすんだから」

もう一度、透はハルの額に軽くキスをして

「ごめん、風呂に入ってくる。消毒液の臭いが…」

透は自分の腕を嗅ぐ仕草をして苦笑いをした。
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