泡恋
夜になり、玄関のドアを開く音に反応したあたしは翔へと駆け寄る。
「ただいまかりん」
「おかえり!!」
元気よく迎えたのは自分の不安を隠すためのように…
「ちょっと、話があるんだけど…いいかな」
「んぁ??何??」
翔は鞄を置くとネクタイを緩めながらあたしを見てきた。
「実は…できちゃいました…」
言った…言ったよあたし!!
この沈黙がなにより辛い。
なんとか言ってよ!!
「ま…じで??」
「こんなこと冗談で言わないよお」
「俺の子だよな!?」
「当たり前じゃん」
翔は動揺したように立ちすくむ─…
あなた以外だれの子なねよっ!!
…よく考えたらそう言ってやりたくなった。