さくらの花が舞う頃に
さくらはまだ何か言いたげな表情。
「あの、なんで昨日あんなことしたんですか?」
単刀直入にさくらが聞いてきた。
「あんなこと」とはもちろん、俺がさくらのおでこにした「あのこと」だ。
だけどなんであんなことをしたのかと聞かれても、俺自身も上手く答えられない。
「私、初めてだったんです。だから………」
「別に口にやったわけじゃないし、そんな気にしなくてもよくね?」
なんて答えればいいのかわからず、結局そんなことを口走ってしまった。
「一瞬おでこに唇が当たっただけじゃん。そんなことでいちいち騒いでんなよ」
「そんなことって………」
…………あ、ヤバイ。
やっちゃったと思ったけどもう遅く、案の定、さくらの顔がどんどん険しくなっていった。