さくらの花が舞う頃に
向かった先は数学準備室。
呼吸を整えて、勢いよく準備室のドアを開ける。
中には授業で使う大きめの定規や分度器が立て掛けてある。
その中央に、驚いた顔をした吉澤先生が座っていた。
そう、これが私の用事。
先生に言わないといけないことがある。
ところが………
「何か用?」
先生の声に少し違和感を感じた。
目の前にいるのは吉澤先生。
端正な顔も長身も別に普段と何も変わっていない。
だけど…………