さくらの花が舞う頃に
────花火を一緒に見たカップルは結ばれるっていうジンクスがあるの。
佳奈の言葉が頭に蘇る。
そんな噂に左右されるなんて、自分でも馬鹿馬鹿しいと思うけど、今日しかない気がしたのも事実。
だから、ちゃんと自分の気持ちに正直にならないと。
やっと気づいたこの気持ちを、早く先生に伝えないと。
教室のドアを勢いよく開ける。
静まり返った教室。
聞こえる音といえば、リズムよく鳴る時計の秒針の音くらい。
そんな空間の中に、「その人」はいた。