さくらの花が舞う頃に

「……………私、吉澤先生が好きなの」



ゆっくりと絞り出して言った言葉は、驚くほどか細くて小さかったけど、戸山くんの耳に届いたようだ。



衝撃の告白に、戸山くんが驚きの表情を浮かべる。



「先生も私のこと、好きだって言ってくれてた。だけど、ここ最近私にだけ冷たくて……

告白したら案の定振られちゃった」



本当のことを言っているだけなのに、なんかものすごく悲しい。



だけど、こんなことを聞かされたら戸山くんもきっと困るよね。



「ごめん、変なこと言っちゃって。この話は忘れて」



今更ながら恥ずかしくなってきた私は、作り笑いで戸山くんにそう返した。



戸山くんがじっと私を見つめる。



そのなにもかも見透かしてしまうような瞳に、不覚にもドキッとしてしまった。