さくらの花が舞う頃に
「…………最低だね」
しばらくして戸山くんがそうつぶやいた。
「え?」
「最低だっつってんの。あいつ……………吉澤 裕翔」
戸山くんがもう一度、抑揚のない声でそうつぶやいた。
「え、あの………」
「だって最低じゃん。大橋さんに期待させといて、大橋さんが必死の思いで自分の気持ちを伝えたのに、
あっけなく断って。教師のすることじゃないでしょ」
戸山くんは一息でそう言い放つと、まるでそこに吉澤先生がいるかのように空中をキっと睨んだ。
何も関係のない戸山くんが私に同情してくれてる。