さくらの花が舞う頃に

今まで喋ったこともなかった人のために、こんなにも熱くなってくれてる。



そのことがなぜかすごく嬉しかった。



また、私の目から一筋の涙がこぼれ落ちる。



「………ってまた泣いてるし。今日めっちゃ泣いてんじゃん。

大橋さんってそんなキャラだったっけ？」



そんな私を見て、戸山くんが苦笑しながらそう言った。



「…………なんか今日の私おかしいよね。

こんな人前で泣いたことないかも。だけど………」



「ん？」



「すごい嬉しい。私のために、私に同情してくれる戸山くんがいて」



私が泣き笑いの顔でそう言うと、戸山くんの顔が少し赤くなったような気がした。