さくらの花が舞う頃に
「裕翔先生〜!」
両手をぶんぶん振り回しながら、近藤先生がスキップをして近づいてきた。
うーわ、気持ちわり。つーか、なに勝手に下の名前で呼んでんだよ。
「なんですか、近藤先生」
なるべく平静を保ってそう応えると、近藤先生が小さな目を精一杯大きく見開いて言った。
「や、やだなあ。下の名前で呼び合おう、ってこの前約束したじゃないですか。ね、裕翔先生♡」
いや、してないし。
たしかにそんなことは言われた気がするけど、俺なんも返事してないんだけど。
明らかに迷惑そうな顔をしてみても近藤先生はおかまいなし。というか気づいてない。