さくらの花が舞う頃に
それどころか、
「あ、もしかして照れてますぅ~?」
なんて意味わかんねーこと言ってるし。
照れてるわけねーだろ。
呆れてんだよ。
「ほら、裕翔先生!はーやー………」
「すみません、僕、近藤先生の下の名前知らないんで」
あまりにもしつこい近藤先生に苛ついた俺は、そう冷たく言い放ってその場を去った。
「ああっ!待って、裕翔先生~!」
大きな声を出して、短い腕を精一杯伸ばす近藤先生に先生たちはもちろん、
たまたま職員室にいた生徒たちも目が点になっている。
この日を境に、近藤先生のあだ名が「ハゲブタジジイ」だけにおさまりきらないだろうな、と
思ったのはきっと俺だけじゃないだろう。