さくらの花が舞う頃に




ざわざわと教室が騒がしくなる。



それなのに。


 



当の本人であるさくらは、一向に顔をあげようとしなかった。



「ちょっ…………大橋さん?」



ずっと下を向いたままのさくらに結衣が怪訝そうに呼びかける。



さくらはじっと下を向いていたけど、やがてゆっくりと顔を上げた。



その徐々に上がる顔を見て、俺は────いや、その場にいる全員が息を呑んだ。



射るような冷たい目。




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