さくらの花が舞う頃に
「私だって、できることならこんなことしたくないよ。
だけど、こうでもしないと裕翔は私の方を向いてくれないでしょ?」
………は?
「どういう意味だよ」
「どういう意味ってそういう意味よ。
私の気持ちは高校時代から全く変わってない。
高3の夏、裕翔に別れ話を切りだされたときから」
結衣の口から次々と出てくる言葉に、俺は耳を疑った。
「………お前、まだそんなこと言ってんのかよ。
俺らはもう終わったんだよ。今さらそんなこと言われても」
「終わった?
…………たしかに裕翔はそう思ってるかもね。
でも、私はそんなこと1ミリたりとも思ってない。
私は裕翔が好きなの。…………たまに大橋さんが憎くなるくらいに」