さくらの花が舞う頃に




「さくらー!おはよー!!」



突如、静まり返った教室に私の名前を叫ぶ声が聞こえた。



振り返らなくてもわかる。  メグと佳奈の声だ。



二人は、しんとするクラスメイトたちには目もくれず、私のところへ一直線にやってきた。



「もうー!なにそんな暗い顔してんのー!?」



「化学の宿題やった?一時限目だよー!」



二人が明るく言う。まるで、私の昨日の行動など忘れたかのように。



それが二人の優しさだということに私は気がついていた。




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