さくらの花が舞う頃に
「俺が今戻ったところで、大橋さんは戻んないでしょ?」
「え?」
「ここで俺が戻ったら、授業サボってまで来た意味ないじゃん。
大橋さんが戻る気になるまで、俺もここにいるわ」
そう言った戸山くんは大きく伸びをして、また空を仰いだ。
「…………ありがとう」
小声でそうつぶやく。
それが戸山くんに届いたかどうかはわからなかったけど、それでも。
そう言わずにはいられなかった。
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