さくらの花が舞う頃に
「よかった。俺が心配しなくても、大橋さんはちゃんと前を向いてたんだね。
無理やりこんなところに連れ出すまでもなかったか」
「そんなことないよ。わざわざ私のためにありがとう。
戸山くんみたいな友達がいてくれてほんとによかった」
私がそう言うと、戸山くんがじっと私の目を見つめた。
「友達……………か」
「え?……………ごめん、なんて?」
戸山くんが何かをつぶやいたけど、私には聞き取れなかった。
もういちど聞こうとした…………そのときだった。