さくらの花が舞う頃に
「さく………」
「大橋さん!!」
俺と戸山が口を開いたのはほぼ同時だったけど、それがさくらに届いたのは戸山の方が早かった。
だけど、さくらは振り返ることなくそのまま走っていく。
戸山は俺をキッと睨むと、
「別にお前がだれと付き合おうと関係ないけど、大橋さんの気持ちも考えろ。
悪いけど俺、お前がライバルだなんて絶対認めないから」
ライバル?
戸山が言った言葉の意味を考える暇もなく、戸山はそのまま走り去ったさくらを追いかけていった。
「…………………」
やがて、完全に二人の姿が見えなくなった。