さくらの花が舞う頃に





「さくら」




その静けさを破ったのはメグだった。




「顔上げてよ」



その言葉にゆっくりと顔を上げる。



顔を上げて一番最初に見たものは、メグの優しい笑顔だった。



「私もね、ちょっと後悔してるんだ。

一番辛かったのはさくらなのに、明るくギャーギャー騒いでたのは無責任だったよね。

私はただ、さくらに笑顔になってほしかっただけだけど、それが逆に鬱陶しかったと思う。

ごめんね」




「ち、違うよ!

メグは、私に笑顔になってもらおうと思って明るく接してくれたんでしょ?

あのときは『鬱陶しい』だなんて言っちゃったけど、

今思えば、メグがそんなに私のこと考えてくれてたことがすごく嬉しい。

謝らないでよ。全然、無責任なんかじゃないよ」



 
そうだよ。



後悔なんかしないでほしい。



メグには感謝してるんだよ。




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