さくらの花が舞う頃に




「……え?」




楽しい?




吉澤先生に、恋していて?




混乱した私を見て、佳奈がまた口を開く。



「一人の友達として言うけど。

私は、もうさくらに辛い思いしてほしくない。

体育祭のあとに、さくらの態度が急変したのも、後夜祭で吉澤先生に振られたからでしょ?

あのときみたいなさくらを、私はもう見たくないの。

手を伸ばしても伸ばしても届かない吉澤先生よりも、さくらのことを好きって言ってくれてる

戸山くんと一緒にいた方がさくらにとって幸せなんじゃないかな?」




その言葉で、佳奈がどれだけ私のことを考えてくれているかがよくわかった。



ううん、佳奈だけじゃない。



隣で大きくうなずいているメグも、私のことをすごく考えてくれる、大切な友達だ。



だけど…………



今さっき、佳奈に言われた言葉が頭の中をぐるぐる回る。



私…………… 先生に恋していて、楽しいのかな。



どれだけ考えても、そのモヤモヤはなくならなかった。





 
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