さくらの花が舞う頃に
裕翔と戸山
裕翔side
「おい、みんな早く帰ろーぜ!」
「帰りどっか寄らないー?」
下校時刻となり、生徒たちが続々と教室を出ていく。
てか、16時に帰れるとかまじで羨ましいんだけど。
そんなことを思いながら職員室へ向かおうとすると、ちょうど教室へ荷物を取りに来たさくらと
鉢合わせしてしまった。
「………あ」
一瞬のうちに、さくらが気まずそうな表情になる。
だけど、気まずいのは俺も同じ。
「…………気をつけて帰れよ」
なんて言えばいいのかわからずに、結局そんな当たり障りのないことを言ってしまった。