さくらの花が舞う頃に




俺が唖然とする中、戸山は黙々と俺の方に歩いてくる。



やがて、俺の一歩前でぴたりと足を止めた。



「……………」



向かい合ったまま、沈黙が続く。





こいつ、何がしたいの?



あまりにも長く沈黙が続いたから、そろそろ怪訝に思ってきたとき、戸山が口を開いた。




「…………これ以上、大橋さんを傷つけんな」



いつも明るく優しいと評判の戸山とは想像もつかないような低い声に、思わず圧倒される。



「は?」



てか、こいつの言ってることの意味がよくわかんない。



俺がいつさくらを傷つけた?




< 373 / 463 >

この作品をシェア

pagetop