さくらの花が舞う頃に
さくらと付き合ってんのはこいつだろ?
たくさんの疑問が頭の中をぐるぐると回る。
俺が混乱してるのを知ってか知らずか、戸山は俺を睨みつけるとまた口を開いた。
「別にお前が誰と付き合っていようと、そんなの俺には全然関係ないけど。
大橋さんをこれ以上傷つけたら、マジで許さねーから。
お前は彼女の水川先生だけ見とけばいいんだよ」
戸山はそう吐き捨てると、そのまま教室を出て行こうとした。
「おい」
背を向けて歩きだした戸山に声をかけると、その足がぴたりと止まる。
「………なんだよ」
「お前、さくらと付き合ってんじゃないの?」
ピクッと戸山の眉が少しだけ動いたのを俺は見逃さなかった。