さくらの花が舞う頃に




たぶん、さくらも俺のことをそう思っているんだろう。





…………違うんだけど。



たしかに、端から見ればそう思われるのも無理はない。



だけど、めっちゃもやもやする。



俺がもう少し遅く生まれてたら。



さくらたちと同じ、高校生だったら。



こんな苦労はしなかったんだろうな。





そんなどうしようもないことを思っても、意味がないことくらいわかってるよ。



────これ以上、大橋さんを傷つけんな。



戸山の言葉がフラッシュバックする。



さくらには、どれだけ傷ついても、それをちゃんとカバーしてくれるやつがいる。



俺がさくらを好きになった頃よりも、さくらの周りにいる人は増えていた。




…………そう、俺がさくらを好きになった頃よりも。









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