さくらの花が舞う頃に




ほんとはもうちょっと反応してほしかった…………とか思ったり。



だけど、まだそのときはそんなに気持ちは大きくなかった。



ただ少し気になる女子生徒。 そんな感じにしか見てなかった。



気持ちが大きくなったのは、あのいじめ事件のときだ。



まさかさくらが、あんなに熱くなるとは思わなかった。



たった一人の目立たない女子生徒を守るためだけに、たった一人で立ち向かったさくら。



その凛とした姿は、いつものようなつまらなさそうな表情をしたさくらじゃなかった。



真剣な表情でクラスの派手めな女子グループに立ち向かったり、授業中にちょっとうとうとしてたり、

クラスの男子がふざけると一瞬だけ口角が上がったり。



思ってたより、さくらはいろんな表情ができる人だった。



あのときに見た、あの優しい笑顔は見せてくれなかったけど。



一度でいいから、あの笑顔を俺に向けてほしい…………とかキモいこと思ってた頃には、

たぶんもうさくらのことが好きだったんだろう。




< 380 / 463 >

この作品をシェア

pagetop