さくらの花が舞う頃に
ほんとはもうちょっと反応してほしかった…………とか思ったり。
だけど、まだそのときはそんなに気持ちは大きくなかった。
ただ少し気になる女子生徒。 そんな感じにしか見てなかった。
気持ちが大きくなったのは、あのいじめ事件のときだ。
まさかさくらが、あんなに熱くなるとは思わなかった。
たった一人の目立たない女子生徒を守るためだけに、たった一人で立ち向かったさくら。
その凛とした姿は、いつものようなつまらなさそうな表情をしたさくらじゃなかった。
真剣な表情でクラスの派手めな女子グループに立ち向かったり、授業中にちょっとうとうとしてたり、
クラスの男子がふざけると一瞬だけ口角が上がったり。
思ってたより、さくらはいろんな表情ができる人だった。
あのときに見た、あの優しい笑顔は見せてくれなかったけど。
一度でいいから、あの笑顔を俺に向けてほしい…………とかキモいこと思ってた頃には、
たぶんもうさくらのことが好きだったんだろう。