さくらの花が舞う頃に
「いーらない」
「……え?」
まさか断られるとは思わなくて、私は驚いて戸山くんを見つめ返した。
あんなに癒やされてたし、てっきり欲しいのかと思ったんだけど………
私があまりにも不思議そうな顔をしていたからか、戸山くんがちょっとだけ口角を上げて口を開いた。
「吉澤にあげる予定だったものもらっても全然嬉しくないし」
え?
言葉の意味をやっと理解して、真冬だというのに顔が真っ赤になる私。
っていうか…………
「なんでそう…………」
「さっきバスの中から見てた。
大橋さん、わかりやすいからバレバレだし」