さくらの花が舞う頃に




「いーらない」




「……え?」



まさか断られるとは思わなくて、私は驚いて戸山くんを見つめ返した。



あんなに癒やされてたし、てっきり欲しいのかと思ったんだけど………



私があまりにも不思議そうな顔をしていたからか、戸山くんがちょっとだけ口角を上げて口を開いた。



「吉澤にあげる予定だったものもらっても全然嬉しくないし」




え?




言葉の意味をやっと理解して、真冬だというのに顔が真っ赤になる私。



っていうか…………



「なんでそう…………」



「さっきバスの中から見てた。

大橋さん、わかりやすいからバレバレだし」




< 409 / 463 >

この作品をシェア

pagetop