さくらの花が舞う頃に
空気が読める佳奈に限って、そんな心ない行動をするとは思えない。
もしかしたら何か考えがあるのかな。
普段の佳奈の性格を知っている私はそう思ったけど、当然、宮下くんは顔面蒼白になって固まっている。
「け………健太?」
宮下くんがやっとの思いで発した言葉に、佳奈が笑顔でうなずいた。
「白井 健太。隣のクラスの…………私の彼氏」
佳奈がそう言った瞬間、宮下くんの目が大きく見開かれる。
「白井くん」の存在は、私も体育祭の前にメグから聞いた。
後夜祭の花火も一緒に見たと言っていたし、付き合っているのはほんと。
だけど。
そんなにはっきり言うなんて………
佳奈、いったいどうしちゃったんだろう。