さくらの花が舞う頃に




じゃあ……………どうするんだろう。




「それじゃ、私行くね」



ゲレンデの下で白井くんと待ち合わせをしているらしい佳奈がそう言って、

スキーで斜面を駆け下りようとする。



佳奈…………行っちゃうけど………



私がもう一度宮下くんを見ると、宮下くんがうつむかせていた顔をあげたところだった。



その顔は、何かを決意したかのように見えた。



「宮下く………」



「山本!」



なぜか心配になって声をかけた私を遮って、宮下くんが佳奈の背中に声をかけた。



さっきの、緊張でもじもじしていた宮下くんとは別人のようなはっきりとした声で。




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