さくらの花が舞う頃に
やっぱり。
佳奈があんなことを言ったのは、ちゃんと考えがあったからだったんだ。
「なんだ、そういうことだったのかー」
メグがちょっと驚いたようにそう言った。
「うん。ていうか私と健太、最近あんまり上手くいってないしね。
宮下に落とされるのも時間の問題かも」
そう言って弱々しく笑った佳奈の表情には少し翳りがあった。
これ以上踏み込んではいけないと察したのか、何か言いたそうなメグも黙る。
「と、とりあえずさ。私たちも早く下行かない?
佳奈、スキー教えてくれるんでしょ?」
なんとなく暗くなった空気を振り切るように私が明るい声を出すと、
やっと佳奈がいつも通りの笑顔を見せてくれた。
「そうだね。よし、滑るぞー!」