さくらの花が舞う頃に
メグの明るい声につられたように、佳奈もスキー板を斜面に向ける。
「わわ、怖っ!待って、落ちる落ちる」
「板を八の字にして………ゆっくりゆっくり大きく横に進みながら」
慌てるメグを佳奈が懸命にサポートする。
そんな二人の様子を見ながら、私はぼんやりと考えた。
────私と健太、最近あんまり上手くいってないしね
さっきの佳奈の少し悲しそうな顔が頭に浮かぶ。
後夜祭で花火を一緒に見るくらいだし、佳奈と白井くんはてっきり上手くいってると思ってた。
だけど。
付き合えたからといってゴールじゃないんだな………
考えてみればそんなの当たり前のことだけど、片思いでさえあやふやな私から見たら
その事実が結構ショックだった。
吉澤先生や戸山くんのことだけでもこんなに大変なのに、
付き合ったらもっと大変なことが待ってるのかな。