さくらの花が舞う頃に




そう思った私は、痛む足を我慢して立ち上がった。



「!!!」



だけど、あまりの痛さに耐え切れずにそのまま座り込んでしまう。




このままじゃ………動けない。



滑走コースからこんなにも遠く離れていたら、大声を出しても気づいてもらえないだろう。



私が落ちた崖は思った通りそんなに高くはなかったけど、この痛む足で登るとなれば話は別だ。



こんなに足が痛い状態で登れるわけがない。




じゃあ……………どうすればいい?




助けも呼べない、自力で歩くこともできない、自分がどこにいるのかもわからない。



これじゃあまるで……………




「遭難………」




自分でつぶやいた言葉の意味をやっと理解して、私は呆然と崖を見つめた。









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