さくらの花が舞う頃に




「さくら!!」



雪を伴いながら吹く風の音に負けないように、普段は出さないような大声でさくらの名前を呼ぶ。



だけど、それに返事する声は全く聞こえなかった。



心なしか、横殴りに降る雪はさらに激しさを増している気がする。




────今夜は吹雪になりそうだなあ




さっきのフロントスタッフのひとりごとを思い出した。



吹雪になりそうって………… じゃあ、もしこのままさくらを見つけられなかったらさくらは…………




…………って何をそんなマイナスなこと考えてんだよ。



慌ててネガティブな考えを振り払う。




見つけられないわけねーだろ。



絶対見つける。 俺が、さくらを。





< 452 / 463 >

この作品をシェア

pagetop