さくらの花が舞う頃に
「さくら!!」
雪を伴いながら吹く風の音に負けないように、普段は出さないような大声でさくらの名前を呼ぶ。
だけど、それに返事する声は全く聞こえなかった。
心なしか、横殴りに降る雪はさらに激しさを増している気がする。
────今夜は吹雪になりそうだなあ
さっきのフロントスタッフのひとりごとを思い出した。
吹雪になりそうって………… じゃあ、もしこのままさくらを見つけられなかったらさくらは…………
…………って何をそんなマイナスなこと考えてんだよ。
慌ててネガティブな考えを振り払う。
見つけられないわけねーだろ。
絶対見つける。 俺が、さくらを。