さくらの花が舞う頃に
だからそれを立ち聞きっていうんだっつーの。
そう思ったけど言わないでおいた。
「つーかお前さ。なんで、あいつらがせっかく勇気を振り絞って、『冷たくてこわーい大橋さん』に
友達になろうって言ったのに断ったの?」
先生が不思議そうな顔をして聞いてきた。
『冷たくてこわーい大橋さん』がちょっと引っかかったけど。
「別に。友達なんて必要ないから断っただけ」
「嘘だろ」
は?
ムッとして先生を見ると、意地悪そうな顔。
「お前なんか隠してるだろ?じゃなきゃ友達になろうなんて言ってくるやつに、普通の人間なら
あんなに冷たく接しねーし。いじめを止めるとことか見ると、案外優しそうだし」
なんかちょっと癪に触る言い方だけど、先生はそのまま続ける。
「お前、なにがあった?まだ俺に言えてないことあるだろ」