さくらの花が舞う頃に




急いで前につめて、クラス表を見上げる。



所狭しと並んだ小さな文字。



じっと目を凝らして、その小さな文字の中から自分の名前を探す。





3組    大橋 さくら






私は………………3組か。




だれに言うわけでもなく、その場をあとにする。



たくさんの人でごった返す昇降口をやっとの思いで抜けると、春なのに私の顔には汗が浮かんでいた。



人が多いところは苦手。



暑苦しいし、思うように動けないし、みんなの声がうるさいし。



そんなふうに思っていると、キャーーッという歓声が昇降口から聞こえてきた。



その歓声が、「あの頃」の歓声と重なる。



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