さくらの花が舞う頃に
そう言いたいのに声が出ない。
もう聞きたくない。
今すぐ逃げ出したいのに、足がすくんで動けない。
「やっぱり性格悪〜い。あんたさくらと仲よかったじゃん。
友達なんでしょ?」
「は?笑わせないでよ。
あんな男たらし、最初から友達だなんて思ったことないし」
その瞬間、私の中で何かが壊れた。
夢愛たちは、私のことなんて忘れたかのように芸能人の噂話なんかをしている。
だけど、私は夢愛の言葉が頭から離れなかった。
──────最初から友達だなんて思ったことないし。