大人の恋は波乱だらけ！？
部長の愛
【大人の恋愛】ゲームを作る様に依頼されてから2カ月近くが経った。


私はというとデスクで頭を迷わせる毎日が続いていた。
一応シナリオを完成させたはいいが自分が納得するものはまだ出来ていなかった。
目の前にある紙媒体の資料を見ながらタメ息を吐く。


「桜木？どうした？」

「高梨部長……」

「ったく……また泣きそうな顔して……」


人が沢山いるオフィスであるにも関わらず、高梨部長は私の頭をフワリと撫でてくれる。
彼の大きな掌がゆっくりと私の頭を行き来する。
それだけで私の心臓は爆発寸前だった。

高梨部長が好き。
そう自覚してから私の気持ちはさらに膨らむ一方だった。


「出来たんだろう？」

「出来たって言うより……無理やり形にしたって感じですかね……」


苦笑いを浮かべながら目の前にある自分が作ったシナリオを眺める。

ただ単に主人公やその恋の相手達の年齢を上げただけで……。
それ以外は今まで作ってきた作風と変わらない気がする。
これが大人の恋愛な訳がない。

そもそも【大人の恋愛】が何かも分からない私にこのゲームを作る資格があるのだろうか。

シナリオをデスクの中にいれて新しい紙を机にのせる。


「……もう1度……考えてみます」

「……そうか、あまり煮詰めるなよ」


そう言ってもう1度私の頭を撫でてくれる。


「部長！！」

「……今行く」


先輩に呼ばれると高梨部長は私に笑顔を浮かべ１人でオフィスを出て行ってしまう。
今の短いやり取りで分かるのだろうか……？
疑問に思いながらも私はデスクに向かい続けた。
< 103 / 514 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop