大人の恋は波乱だらけ！？
「……ただいま……」


高梨部長とは別れ自宅へと戻ってきた私は小声で言いながら家の中へと入る。
玄関に入れば違和感が私を襲う。

出て行く前にはそこにあった昴さんの靴が無くなっていた。
何処かへ出かけたのか、そう思い私は家へと上がる。
安心した様な、哀しい様な気持ちが胸を渦巻くがそれを振り払う様にダイニングへと向かう。

テーブルには1人前のご飯がラップをしたまま置かれていた。
キッチンに行けば食器乾燥機に綺麗に洗われたお皿が入っている。


「……ちゃんと食べてくれたんだ……」


その事が凄く嬉しかった。


「……私も食べようかな……」


ダイニングへと戻り、ご飯を食べる。
すっかりと冷めてしまった生姜焼きは少し味気なかった。

違うか、1人で食べるご飯が寂しいんだ。
今までは1人暮らしだった為、そんな事は思った事がなかった。
でも、昴さんと一緒に住む様になって、2人でご飯を食べる様になって……。
知らないうちに私はすっかりとそれに慣れてしまったんだ。


「……昴さんもこんな感じだったのかな……？」


彼も私同様に寂しいと思ってくれただろうか？
そんな事を思いながら食事を続ける。
静かで、だだっ広いこの空間が少しだけ怖く感じた。
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