大人の恋は波乱だらけ!?
「無理しなくていいから。
俺が社長たちに掛け合って【大人の恋愛】のゲームは違う人間に依頼する様に頼んでみる。
だからお前は自分の作りたいものを作れ」


高梨部長はそう言って優しく笑うと、ゆっくりと私から離れていく。
体から消えていく温もりに寂しさを覚えながらも高梨部長の顔をじっと見る。

私の視線が気になったのか首を傾げる高梨部長。
心配そうに眉尻を下げながら口を開いた。


「桜木?どうした?」

「私……作ります」

「え……」


高梨部長は驚いた様に目を見開きながら私を見ていた。

それもそのはず。
私はこの会社に入社した時から……。
いや、今までずっと人に合わせて生きてきた。
相手の意見に合わせて、荒波が立たない様に。

でも、今私は自分の意見で【大人の恋愛】ゲームを作ると決めたんだ。

社長たちの前で返事をした時は事を荒立てたくなかっただけだった。
でも今は……。


「高梨部長の役に立ちたいんです」


私がいいゲームを作ればスカウトをした高梨部長の評価も上がるはずだ。
そうすれば彼はもっと自由にゲームを作れるような立場になるはずだ。
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