大人の恋は波乱だらけ！？
それぞれの決意
「高梨部長！！」


私は病院の待合室の椅子で項垂れる彼の元へと駆け寄った。

電話の相手は高梨部長だった。

その内容は……。


「社長は！？」

「……意識不明の重体だそうだ」

「そんなっ……」


社長、つまり彼のお父さんが倒れたの事だった。
彼はかなり気が動転していて状況がよく分からないままここに来た。
でも只ならぬ雰囲気だって事は分かったんだ。
彼がここまで動揺をするのは初めてだから……。


「……桜木……俺……どうしていいか……」

「高梨部長……」


掠れた声が耳へと届く。
頭を抱えながら俯く彼は弱々しくて……。
放って置けないんだ。


「桜木……傍にいてくれ……お前がいないと不安なんだっ……」

「……大丈夫です……大丈夫ですから……傍にいますから」


彼の体を精一杯抱きしめる。
こんなに弱った彼を見るのは初めてで……。
どうしていいかなんて分からない。

だけど……。


「高梨部長……大丈夫ですから」

「桜木……」


私にしがみ付きながら彼は何かを耐える様に呼吸を繰り返していた。
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