この道の先に
「和弘。私はどうしたらいい?」
5歳の弓には抱えきれないほどの孤独
「弓……」
縁側に腰掛けている弓の横へと、和弘は足を動かした。
和弘にはわからなかった。
こんなときに何をいったらいいのか。
何をいっても、彼女の心には届かない。
なんとなく、そう思っていた。
弓の横に腰をおろし、一緒に庭を眺めた。
鈴虫の鳴き声が聞こえてくる。
あぁ、今夜は満月だ。
「……月が、綺麗だな」
気がつけば、和弘の口からそんな言葉がこぼれていた。
「……うん」
弓は小さく返事をした。
「なぁ」
「ん?」
「今言うことじゃないかもしんねーけどさ、俺はきっとこれから先もお前と一緒にいる……気がする」
なんとなく頼りない、だけど今の等身大の和弘の言葉が弓の鼓膜を揺らした。
「……うん」