臆病者の偶像
 この病気の辛いところは"理解されにくい"というところである。

会社の人達は色々気を遣ってくれた、それでも一部の人からは嫌味なことも言われたりした。その度に死にたくなった。

家族にすら病気のことを理解してもらえず、相談できる友人や、彼女もいなかった。

孤独だった。

"退屈は人を殺す"というが、"孤独も人を殺す"と俺は思った。

 着替える服がまるで白装束のように俺には見えた。気分は切腹を申しつけられた侍のような気分だ。いっそのこと誰か俺のこの首をはねてくれ。そう心の中で呟く。
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