雪国ラプソディー

とりあえず、待ち合わせ場所まで行かなければ。
課長から聞いていた待ち合わせ場所は、駅の出入口だった。

少し歩くと、構内の端に大きなガラスのドアを見つける。


「あった。この辺かな」


確か、営業所の人が迎えに来るって聞いたような……。気が動転していたからあんまり覚えていない。一体どういう人が来るんだろう。


近くにはそれらしい人は見あたらなかった。
見知らぬ土地でひとりっきりという事実が、私の不安を煽る。


「もしかしたら外で待ってる、とか?」


意外と響いた自分の独り言が虚しい。
私はドアの向こうへ一歩踏み出した。外の空気を吸って、気分を変えよう。


「あっ」


顔を上げた私の、視界に飛び込んできた光景に息を飲んだ。

< 10 / 124 >

この作品をシェア

pagetop