雪国ラプソディー
「…………え?」
ーー今、なんて?
聞き返したいけど、聞き間違いだったら恥ずかしすぎるし、聞き間違いでなくとも恥ずかしすぎる。
「……」
困って何も言えないでいると、横から顔を覗き込まれた。
「浅見のツッコミ待ちなんだけど」
「っ!」
やられた……!
さっきの私以上にニヤニヤした小林さんの顔がアップになる。
「もう、変なこと言うのやめてください!」
私は、もはや定位置となっている助手席側の窓へと視線を変えた。顔が赤いのはばっちり見られたと思う。せっかく反撃するチャンスだったのに、逆に返り討ちに遭ってしまった。
そして小さな笑い声と一緒に、ゆっくり車は発進した。
ーー私だけ、全然休憩できていないんですけど。