雪国ラプソディー
とんだ自己紹介

「あーもう鈍くさいな。雪まみれだ」


黒ずくめのその人は、私を立たせてくれた。
肩に乗った雪を払ってくれる。


「さすがにこれ以上は、セクハラか」


後は自分でやれ、とそっぽを向かれた。
言われるがままコートに付いた雪をバシバシ払う。


この人、誰だろう。


ちらりと盗み見ると、彼はどこかへ電話をかけはじめた。


「お疲れ様です、小林です。ええ、今会えました。はい、これから戻ります」


なかなかの長身でいらっしゃる。上着と長靴のせいで、体格は全くもって不明だけど。

こっちの人ってやっぱり色白いなー。目鼻立ちもハッキリしてて超羨ましいんですけど!
雪国の人でも寒いのかな。耳が少し赤くなっているのがわかる。耳を出していると直接外気に晒されるから、痛いだろうな。

盗み見のつもりがしっかりがっつり見つめていたらしい。
通話を終えた彼が私の視線に気付き、軽くにらんでくる。


うわ、愛想悪い!


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