雪国ラプソディー
「とりあえず、行くぞ」
しかも勝手にずんずん歩き出すものだから、焦って小走りになる。
ちょっと待って!速い、速いから!
「ひゃ」
気を抜くと雪の絨毯に足を取られてもつれてしまうし。
「とろとろしてると置いてくぞ」
向こうから張り上げられた声に、何だかムカっとした。
「ちょ、ちょっと待って、はあ、はあ、あなた誰なんですかっ!」
渾身の力を振り絞って叫ぶと、彼は勢いよく振り返った。
形のいい切れ長の目が、点になっている。
「……あんたそれ、本気で言ってんの?」
え?
私、何かやらかしました?